リコリスと並んで天然の甘味料として知られるステビア。その安全性や危険・副作用について紹介します。
ステビアってどんなハーブ?
ステビアは南米原産のキク科のハーブ。
茎や葉に含まれるステビオシドは非常に甘みが強く、甘味度は砂糖のおよそ300倍もあります。
甘味料としての使われていた記録は16世紀中ごろまで遡ります。現在の主要生産地の一つであるパラグアイにおいて、当時はマテ茶の味付けに使われていました。
ステビアを摂ると太るの?
ステビアの甘味成分であるステビオシドは人間の小腸では吸収されず、腸内細菌によってステビオールに分解されることが分かっています。
人の生命活動においてエネルギー源になることはありませんから、脂肪として体内に蓄積されることもありません。したがって、ステビアを摂取すること自体が肥満の要因になることはないと言われています(もちろん、甘み成分の一部をステビアで代替しているに過ぎない食品の場合、食べ過ぎれば摂取カロリーが増えますから太る原因になり得ます)。
ステビアの安全性と危険・副作用
”砂糖よりも甘いのに太らない甘味料”と聞くと「そんなうまい話があるのかな?何か危ない成分だったり、副作用があるんじゃないの?」と心配になってしまうのが、人の性。
実際、アメリカやシンガポールでは販売が禁止されていた時期もありました。
ステビアは人体に有害なのでしょうか?
少しステビアの歴史を振り返ってみましょう。
上述の通り、歴史上ステビアについて最古の記録が16世紀中ごろ。
それから時が経ち、日本に登場するのは1970年。北海道農林試験場によって、日本に種子が持ち込まれました。
そして、翌年の1971年。大阪の森田化学工業という会社が、世界に先駆けてステビア甘味料を製造します。それ以降、日本各地でステビアが栽培されるようになり、キャンディや歯磨き粉の甘味成分として広がっていきます。
1990年には大塚薬品が、有名な清涼飲料水の1シリーズとして『ポカリスエット ステビア』を販売しました。
この間、国内でも安全性の確認が進められてきました。1997年には公益財団法人 日本食品化学研究振興財団が、『既存添加物の安全性評価に関する調査研究』の中で、ステビアを早急に新たな安全性試験を行う必要のない41品目の1つに分類。この判断は現在でも維持されています(同団体はあくまで公益財団法人であり、国の一機関とまでは言い切れません。もっとも、同資料は厚生労働省のサイトで紹介されていますから、国の公式見解に準じるものと評価できそうです。)。
また、厚生労働省では2001年に至り、ステビアの安全性を認定しました。
厚労省は6日、天然甘味料ステビアの安全性を追認する試験結果を毒性・添加物合同部会に報告し、了承を得た。国際的には一九九九年にEC(欧州委員会)で安全承認が見送られており、国内でも一部消費者の不信があった。安全の再確認を受けて同省は、来春にも公的な規格基準を制定する方針。
出典:日本食糧新聞『厚生労働省、甘味料ステビアの安全性を確認、公的規格の作成へ』
日本以外でも、ロシアや韓国、台湾では食品添加物としての使用が認められてきました。
一方で、上述の通り販売が禁止されていた(または、今でも禁止されている)国があるのも事実です。
しかし、これにも各国特有の事情があります。
例えば、アメリカで販売が禁止されていたのは、当時の甘味料業界によって強硬なロビー活動が展開されていたためといわれています。
つまり、”ステビアが人体に有害だから販売を認めない”という理屈ではなく、”ステビアという甘味料が出回ると、自分達が販売している既存の甘味料が売れなくなる”という危惧感から、業界団体が反発。結果として販売開始まで時間がかかってしまったというわけです。
実際、「甘味料」としてのスナック菓子や食品への使用が禁止されていただけであり、規制下の1994年当時においても「サプリメント」としては販売されていました(このあたり、抜け道を探して商流を開拓するあたりが、いかにもアメリカらしいエピソードですね)。
2008年にはアメリカ食品医薬品局(FDA)が「甘味料」として承認したため、現在ではアメリカでもステビア甘味料が広く流通するようになりました。
ステビアの効果・副作用
ステビアの特徴は、甘みがありながらゼロカロリーであるということ。
そのため、飲み物や食べ物に使う砂糖と置き換えることで、ダイエットや糖尿病の症状緩和が期待できます。
また、昨今では緑茶の5倍以上の抗酸化力が認められたほか、抗アレルギー作用が確認されたため、各種アレルギー症状の改善に効果が期待されています。
その他にも、抗ウイルス効果の研究が進められ、C型肝炎の抑制作用についても解明されつつあります。
原産地であるパラグアイの先住民たちからは神聖なハーブとして崇拝されてきたステビアですが、その成分にはまだまだ驚くべき効果が隠されているのかもしれません。
一方で、誰にでもおすすめできるハーブというわけではありません。
ジャーマンカモマイルやダンデライオンと同じくキク科のハーブのため、キク科アレルギーの人は摂取に注意が必要です。
また、かつてはペルーにおいて避妊に使われていましたが、その後の研究で避妊効果がないことが分かっています。
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